「むんじゅる笠」と呼ばれる沖縄伝統の手編みの麦わら笠を作る職人・大城善雄さんの姿を追ったドキュメンタリー。沖縄県本部町の西の海に浮かぶ離島の瀬底島。沖縄本島と橋で結ばれるまでは島民は「シマチャビ(離島苦)」の生活を余儀なくされ、貧しい暮らしの中で人々の多くが副業としてむんじゅる笠を作っていた。むんじゅる笠は、麦わらと竹で作る日よけの笠で、かつては沖縄各地で強い日差しをよける笠として愛用されていたが、いまは実用的な役割よりも、祭りや舞踏のモチーフとして知られている。時代とともに作り手も少なくなり、現在は瀬底島でただ一人のむんじゅる笠の作り手となった大城善雄さんの笠の制作過程を追い、瀬底島の祭祀行事等の様子も捉えながら、むんじゅる笠とともに生きた島の暮らしを描いていく。